MADE IN CHINAのウェディングドレス。

ドレスについては、今でも少し後悔が残っています。ウェディングドレス、それはヲトメの憧れ…。なぜそんなところで妥協をしたのか!?と言われそうですが、決して妥協をしたわけではありません。だって私は昔、ウェディングドレスショップで働いていたのですから。人のドレスを見てもついつい質やバランスをチェックしてしまうような人間なのですから。だから、どこか妥協をしてテキトーなドレスを選んだわけではないのです。。。
そもそも、ウェディングドレスを着る予定はありませんでした。というのも、結婚パーティーの会場が、いわゆる"ちゃんとした結婚式場"ではなく、いたって普通のライブハウスだったからです。案外見落とされがちなポイントですが、ウェディングドレスって会場の雰囲気とのマッチングがとても大事です。ライブハウスのステージで動き回ったりすることを考えたら、ウェディングドレスはやっぱりしっくりきません。それに、もし私がどうしても着たかったとしても、そもそも"ちゃんとしたウェディングドレス"をレンタルしたら、"ちゃんとした会場"でないと使わせてもらえないのです(ライブハウスで着ると言ったら試着さえさせてもらえない)。もちろん、数十万円出して購入すればどこで着ても自由ですが、前述のとおり会場にマッチしないし、買うつもりはなかったので。それで、ちょっといい感じの白いワンピースでも探そう、と思っていたのですが…無いんだな、そんな都合のいいものが。それで、困ったなと思って検索していたら、ネットで注文できて、一回着て終わりでも許せる価格の、ものすごーくシンプルなウェディングドレスを発見したんです。このドレスを買って、丈をぐんと短くしてもらえば、いかにもなウェディングドレスにはならず、ライブハウスパーティで着るには最適だ!と思いました。生地の質に期待できないことはわかっていましたが、会場が薄暗いライブハウスなので、問題ないと判断したのです。

果たして悪夢は、そのサイトの注文画面に書いてあった小さな文言から始まりました。「小物とボレロは別売りになります」
あぁ、ノースリーブが気になる人がボレロを追加したりするんだろうな、と思っていました。ところが、注文してからわかった事ですが、"ボレロ"の意味するところは、上半身の生地を覆っているレースの事だったのです。いやいやいやいや。レースはドレスの一部(というか、もはや存在意義)でしょ?レースがボレロなわけがねーーーだろーーー!と思い、クレームしましたよ。「"ボレロ"の定義は、丈の短い前開きの上着のことですよ。この書き方では絶対に誤解をまねくし、納得できません」とかって。でも結局そのクレームは受け入れられず、買いましたよ、その"ボレロ"とやらを。絶対ボレロじゃないけどね。だいたい、レースが無かったら私の上半身、ただの洗顔ネットじゃん!
このショップとは意思の疎通ができない…と不安感高まる中、試着用の仮縫いドレス(これは1万円くらいのオプション)が届いてみたら、おい、形が全然違うっつーの。これはランニングシャツですか?みたいな。襟ぐりが広くて浅いデザインのはずなんですけど、何ですか?これ。みたいな。それで、絵を描いて説明し、本縫いのドレスはよろしく頼むよ、と言ったのですが。
うん、結局、ランニングシャツ状態のまま本縫いのドレスが届いた。しかも、裾が汚れてる。ちょっとじゃなくて、けっこう派手に汚れてる。もうあまりにショックで、クレームする気にもならず、しばらくドレスに触れることができませんでした。この点は完全に私のミスですが、1週間以内だったら無料で直してもらえたんです。でももう見るのも嫌で、気づいたら1週間経っていました。そして着てみたら、なんか泣けちゃうくらいおかしい。だってほら、ランニングシャツだから。パーティまでもうあまり日もありません。送り返して直してもらう時間もありません。絶望的な気分になりながら、洋服のお直し屋さんに片っ端から電話をかけました。ドレスって、どこででも直してくれるワケじゃないんです。ようやくやってくれるというお店を見つけ、涙をこらえて出向きました。「これは…酷いですねぇ!」と言われましたよ。汚れだけでなく、縫製も酷かったんです。例えばこれ。レースの切れ端が出ちゃってる。

「直るかなぁ…いや、頑張って直します。だから元気を出してくださいね!」とか言われて、本当に涙が出そうでした。もうね、完全に私が悪いんですよ。ライブハウスだろうが、一生に一度(のはず)の花嫁衣装を、MADE IN CHINAのネット通販で買った私が。でも、日本の技術はすごかった。ランニングシャツがかなり改善され、何とか思った形に近づけてくれたのです。試着してみて、また涙が出そうになりました。結局、お直し代金がドレス代金と同じくらいかかりましたが、これで着られるならもう文句はありません。

「ドレスがあまりにも酷いの(TдT)」とあちこちで触れ回っておいたのが功を奏したのか、当日はみんなが「どこがダメなの、全然素敵だよ」「とてもかわいいし、nacciに似合っているよ」と褒めてくれました。それでも私は言いたい。どんなにライトなものでも、一生に一度(のはず)の花嫁衣装であるかぎりは、やはりショップで採寸して自分のスタイルに合うものを作るべきです。え?あたりまえ?そうですよね…。


※失敗ドレスを買った後に"blanco bianco"というショップを発見して、あ〜このショップに試着に行ってみたかったな〜、と思いました。このショップで売ってるような、ウェディングドレスっぽくないドレスが欲しかったんです。興味のある人は検索してみてください。