湘南乃音

突然ですが、Bar de nacci は移転いたしました。。。って、私が物理的に転居しただけで、ブログは何も変わっていないのだけど。名古屋を離れる、という1年前には予想もしなかった事態に、まだ自分自身がしっくりはまっていないというか、フワフワと落ち着かない日々を送っています。順を追って書くとまたいつまでも書き始められないので、思いついたことから書いていきましょう。

というわけで、まずは何の脈絡もありませんが、私の耳に毎日流れ込んでくる「音」について。
住む場所が変わり、生活環境も生活パターンも180度変化した私の耳にとっては、日々入ってくる音もまたガラリと変わってしまいました。いわゆる"湘南"と呼ばれるエリアに暮らし始めたので、「波の音なんかが聞こえてくるんでしょー?」などと誤解されがちですが、我が家はけして潮騒の聞こえるような所にはありません。海までは、自転車をこいで15分といったところ。表に出ると潮の香を鼻の奥に感じたりはするのですが、海が見えるわけではなく、家の周りを見渡せば実家があった名古屋と変わらない、いたってふつうの住宅街です。では何が変わったのかというと、電子音がほとんど無い。まず、我が家にはテレビがありません。そして、音楽を聴く時間が激減しました。通勤中に聴くという機会がなくなったのが7割、仕事中のBGM(あったのです、前職では)がなくなったのが3割ってところでしょうか。積極的に音楽を聴くのは、ドライブ中か家の中で鳴ってるギターくらいのもので、いまの私はほとんどテレビやらCDやらの音に触れていません。そうすると何が聴こえてくるかというと、まさに sound of nature です。家の前にこのようなクスノキがありまして、

風がざぁーっと渡っていく音が、なんというか、もう、トトロなんです。トトロがおるんです、ここに。山とか森の中で、風が樹を揺らす音しか聞こえないような場所ではなく、近所の子どもの声、電車の音、工事の音だとかがあふれているこんな場所だからこそ、クスノキの下に立って頭の上を風が通りすぎていくその瞬間だけ、他の全ての音が遮断されて、自分がどこにいるのかわからなくなるような感覚に陥ります。ちょっと懐かしいような怖いような、とても不思議な感じです。
このクスノキの周りにやってくる生き物、特に鳥たちの声もまた、私が毎日楽しんでいる音のひとつ。実家の方では、鳥の声といったらスズメかムクドリくらいのものでしたが(ムクドリとか分かってるあたり、既に私も只者じゃないが)、ここはウグイスをはじめ、いろんな鳥がさえずります。ウグイスの声はあなた、ちょっとしたもんですよ。夏の初めにもなると鳴き方も板についたもので、透き通った声でホーホケキョ。目を閉じればそこは一瞬にして深山の庵。体感温度がぐぐっと下がります。最初はスピーカーでどこかの家から流しているのかと思いましたが、時々このクスノキにもやってきて鳴くようになったので、この地方にはウグイスが普通に生息しておるようです。

と いうような、静かな場所で余生・・・じゃなくて新しい生活をスタートさせました。こんな感じで、ぽつぽつとまた書いていきますので、お暇なときにでもどうぞ Bar de nacci をおたずねください。