☆しあわせのパン

([み]2-1)しあわせのパン (ポプラ文庫)

映画は観ていません。会社の「ふれあい読書棚」(←いま名づけた)から借りてきました。三島有紀子という著者名が気になる〜…と思ったら、やはり三島由紀夫好きなお父様がつけた名前らしい。ある意味、キラキラネームですね☆

さて小説の方は、一日で読める短いもの。また、「続きもの短編集」のスタイルで、中高生の皆さんにも気軽に楽しんでいただける作品かと。(薦める筋合いも無いのだが)

さて小説のあらすじは、あるカップルが紆余曲折のすえに北海道でカフェを始め、そこを訪れるお客とふれあいながら、あたたかい場所を提供していく。同時にこのカップルも、お客からあたたかいものを受けとって…。焼き立てのパンとともにつづられるストーリー。みたいな。

そのお客が、失恋直後の若い女性だったり、問題を抱えた親子だったり、生きる希望を無くした老夫婦だったりするのです。
失恋女性の物語、親子の物語…と読み進め、「ふむふむ、ハイハイ、あ〜そういう感じね。うん、うん、もう大体わかったよ」とか思っていたのですが、なぜか老夫婦の物語のところで号泣(~_~;) こんなにひと粒がでかい涙ってある?!というくらい、大粒の涙をこぼしてしまいました。「いかにも泣ける話」で涙が出ると、なんかホッとするわぁ(笑) 普段、「え〜そこ?!」というシーンで泣くことが多いもので…


この本では、すっ と共感できたのが、かなり「悪役」的な登場人物でした。失恋してひとりで北海道旅行をする彼女の、そのひどい恋人の方。ひどい、と言っても、よく読めばこの彼女の方が「本当にどうしようも無いヤツ」なので、その「ひどい彼」が「ひどい態度」をとる理由も納得なのです。人は、経験を重ねると、色んな人の立場がわかるようになるものですね…。それって直接自分のためにはならなさそうだけど、私の周りのいる人を助けることがあるかもしれない。そして、それが、ひいては自分のためになるのかもしれない。わっ!うまくまとまった!!!(笑)しかもこの小説のコンセプト↓にぴったり。


月は、太陽に照らされて、私たちを照らしてくれる。
私も、誰かに照らされて、そして誰かを照らす。