☆1Q84

1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉前編 (新潮文庫) 1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉後編 (新潮文庫) 1Q84 BOOK2〈7月‐9月〉前編 (新潮文庫) 1Q84 BOOK2〈7月‐9月〉後編 (新潮文庫) 1Q84 BOOK3〈10月‐12月〉前編 (新潮文庫) 1Q84 BOOK3〈10月‐12月〉後編 (新潮文庫)

2年経ってついに文庫化。ハードカバーでは全3巻だったので、てっきり文庫も3巻かと思いきや、まさかの6巻仕立て。新潮社の策略にやられた気がする、、、。文庫で買ってもさして安くならないじゃん!厚くていいから3巻におさめてほしかった。どんだけ厚くしても京極夏彦よりは薄くなるって。

さて本題。ハードカバーの時にこの小説を人から借りて読んだ時、「あ〜あんまり好きじゃない」と明確に感じた記憶があります。最終巻を読んだ後に感想みたいなものを書きましたが(2年前の記事)、これを読むと1Q84そのものについては全く触れていないあたり、やっぱり面白くなかったんでしょう。「あるカップルがつよく惹かれあっていく激しいラブストーリー」という点では「ノルウェイの森」の方が好きだし、「同時にいくつかのストーリーが展開されていく」というおなじみのスタイルなら「海辺のカフカ」の方がだんぜん好き。
…ところが、今回文庫で読み通したら、1Q84も非常〜に面白かった。この違いはなにか?なにも「私自身が成長したから」とかいうことではありませんよ。たぶん前回は、1巻2巻を読んだあと最終巻を読むまでにものすごい時間が空いてしまった、そしてしっかり読まずに飛ばし読みしすぎたという単純な理由だったのかもしれません。今回はものすごい勢いで一気に読み通したので。

この小説のそこここに散りばめられた、示唆と、暗示と、啓示と、関連性、そして、愛。それらをひとつひとつ拾い上げて、いろんな角度から観察してみる。そんな風にじっくりと味わえば、場合によっては難解(もしくは意味不明)ととられがちなこのお話が、ひたひたと自分の一部になっていくのを感じます。
ここに本の感想を書くとき、いつも「あらすじを短くまとめると…」と付け加えますが、1Q84の場合はそんな短くまとめれん!…と思いつつ、思い切って20字以内でまとめると、「あるカップルがついに再会を果たす迄の物語」。これでいいじゃん。
あるカップルが、どうしても必要な再会を果たすために、さまざまな関わりの中で、さまざまな代償を払いながら、糸を手繰り寄せていく。そこに襲い掛かる困難はあまりにも恐ろしくてあまりにも複雑で、もうだめだ!と手を放してしまいそうになるのに、このカップルはそうしないのです。そうしないから、最後に再会するのです。「もう疲れた…」と目を閉じてしまったり、悪魔のささやきに耳を傾けてしまったら得られないギフト。それを得るまでのストーリー。


いかん、ぼんやりと生きていたらまずいことになる!と思わせてくれる小説でした。3回目読むのが、楽しみです。