☆運命の人

運命の人(一) (文春文庫)

運命の人(一) (文春文庫)

運命の人(二) (文春文庫) 運命の人〈3〉 (文春文庫) 運命の人(四) (文春文庫)

モッくんのドラマだから見るか、と思い、ドラマ見るなら小説も読むか、と思い、一気に駆け抜けるように読みました。小説を手に取ってみるまで、沖縄返還に絡んだ話だということは全く知りませんでした。偶然にも、去年「本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること」(感想)を読んでいたのですが、これ読んでなかったら「運命の人」もいまいちピンとこずに終わっていたかもしれません。四巻のうち三巻までは、ギラギラとした政治とメディアの世界、そして長引く裁判…と、読んでいて息が詰まるような展開。しかし最終巻の四巻で、舞台は沖縄へと移り、小説の色がガラリと変わります。沖縄の地上戦を振り返るあまりに辛いストーリーに、今度は違う意味で息が詰まって…。私の場合は、「本土の人間は知らないが〜」を読んでいたからこそ、主人公の弓成が沖縄で感じたことがリアルに心に入ってきました。「沖縄の痛みは、誰の痛み?」いま正に、日本人が自らの心に問いかけるべき質問だと思います。「運命の人」の中にも、その答えはしっかりと書いてあると思うのです。