かの国だより まとめ

そういうわけで、韓国滞在はあっという間に終わってしまったのでした。


正直、私が韓国という国を訪れることは、一生ないと思っていました。韓国人の知人がいなかったというのも大きかったと思うのですが、どこかつきまとう「胡散臭さ」が、私から韓国という国をずっと遠ざけていた。韓国ドラマも韓国人俳優も韓国コスメも興味ゼロでした。
ソウルを訪れ、楽しく過ごしたというだけで、件の胡散臭さが完全払拭されたという訳ではありません。それでも、「胡散臭さ」の大部分は私の心の中にあっただけだな、という事は認めざるを得ないでしょう。韓国旅行をする周囲の友人がみんなハマっている理由も、よくわかりました。

今回はソウルしか訪れていませんが、ソウル=韓国とするならば、韓国は大変にエネルギッシュな国です。ポジティブなエネルギーがばんばん出ていて、こっちまで元気にさせられる。逆に、現代の日本がいかに疲弊しているかを痛いほど感じてしまいます。もしかしたら韓国も、いつかは日本の後を追うように疲弊していく可能性がないとは言えない。それでも、少なくとも今は、あの元気をもらいにいく為だけに韓国に行くのもアリなのかもしれません。韓国コスメが大人気ですが、あれは成分がどうこうではなく、使い手の韓国人女性たちがエネルギッシュだから、何を使ってもあんな風にお肌がきれいなんじゃないの?とか思ってしまいます。

K-POPも韓国ドラマも、日本のテレビシーンを席巻していますね。色々大人の事情があっての事とは思いますが。私は、韓国に行くに先だって、一つだけドラマを見ることになりました。それが「ファン・ジニ」という宮中芸妓の物語で、ツッコミどころは色々ありながらもとても楽しく全24話を見終えることができました。そしてこれを見ておいたおかげで、韓国で見るもの聴くものに、実に親しみをもって接することができたのです。特に、あちらの伝統楽器の音色に触れることができたのは、it was a real eye-opener! でした。私は、もともと西洋音楽の音色や音階が好きで、日本を含めアジアの楽器や独特の音階に全く惹かれずに育ってきました。日本の雅楽も、笙(しょう)の音なんて全く肌に合わなくて、聴くと鳥肌が立つ(悪い方)始末。同じく、中国音楽の雰囲気も好きではない。よって、朝鮮半島の音楽なんて端から相手にしていなかったわけです。それが、ドラマを見てたらどんどん好きになっていった。触れて、音を出してみたいと思うようになったのです。今回旅先で生演奏を聴くことができて本当に嬉しかった。「食わず嫌い」って、世界をせばめる危険な姿勢だな〜!と あらためて思ったのでした。

今回、滞在中に、大統領官邸「青瓦台」の見学もしました。

ここは、日本人が大挙して押し寄せるような場所ではないでしょうね。物々しい雰囲気の中、ヘッドフォン通訳ガイドを聞きながら回ると、当然のことながら話題は日本植民地時代の事になりますし。ガイドブックにも、そんなに載ってないですし。
この場所は、美しい瓦、建築、庭園、どれを取っても一級品ばかり。でも、私にとって一番衝撃的だったのは、ガイドの内容でした。しょっぱなから、「素晴らしい国、韓国!」「韓国の文化を世界中に紹介しなければいけません!!」「わたしたちは、素晴らしい民族なのです!!!」という感じなわけです。
韓国の人って、なんであんなにもアツいんだろうか?どうもついてゆけない。と思う事が昔から多々あり、それが一種の胡散臭さにもつながっていたわけですが、理由はこれか!とスッキリしました。青瓦台のガイドは、社会見学か何かで来ている韓国の小学生たちと一緒に聞いたのですが、子どもの頃からああいう風に教育されているわけです。そりゃアツくなるわ。仕方ないわ。と。日本はあんな風に教育されないですから、大きな隔たりができるのも納得です。このちょっとの想像力が、日本と韓国の溝を埋めるきっかけになるのかもしれないな〜 と思いました。

というわけで
今回の韓国訪問では、日本がどう、韓国がどう という二か国間だけの話ではなく、どうしたらこの世の中に平和がもたらされるんじゃろう?という答えに 少しだけ近づけたような気がします。今のところ、ハマってはいないけれど、機会があったらまた韓国に行ってみたいですね。冷麺食べに。(←ソレかい!)