「古の桜」


大きな枝のところにも
小さな花のひとつにも
桜の神様がやどっている




たとえばそれを信じなくても
桜の下に人は集い
花を愛でてこころときめく



誰もがきっとどこかでは
知っているのに違いない
桜に宿る神様を



君と桜の便りを交わす
その時 神がちらりと見せる
いにしえの頃の桜の記憶




桜の海で背中に君が
千年前もくちづけた
まぶたの奥に見えるのは
朧月夜と ひかる君