映画「サヨナライツカ」

「サヨナライツカ」をみてきました。
辻仁成氏の小説は「原則苦手」なのだけど「サヨナライツカ」だけは好きで、これまでに何度も読み返しています。今回は辻氏の妻である中山美穂主演とのことで、どんなものかと思ったのですが


非常に残念!え〜どうして〜!?というくらいに話が変わってしまっていた。


あらすじを簡単に説明しよう(仮面ノリダー風)。ユタカは将来有望な好青年。彼は婚約中でありながら駐在先のタイで謎のセレブ美女、トウコと激しい恋に落ちてしまう。互い身も心も惹かれあいながらも、結局ユタカは将来の安定が約束された光子との結婚を選択。副社長の座にまで昇りつめたユタカだったが、心からトウコが消えることは1日もなかった。
その後、歳を重ねた2人はタイで運命的に再会することとなり、ようやく互いが愛し合っていたと言葉にすることができ…


みたいな感じなんだけど、私はこの小説の「静かな情熱」みたいのが美しいとずっと思っていたのよ。
・ユタカは家族を大切にしているが、トウコのことをずっと忘れられない。
・トウコは、ユタカを忘れられずに独りで生きるが、軽はずみにユタカの前に現れるような事もしない。
・ユタカの妻、光子も、ユタカを支えよき妻よき母として生きていく。


なのに映画では、光子がただの性悪女になってトウコをいじめるわ、ユタカの家庭は冷え切って仮面家族のようだわ、まるで昼ドラの世界。なんなのー。原作のような「静かでも激しい愛」は、映画としては凪ぎすぎてダメなのかしら。そんなんだったら映画化なんてしなきゃいいのよ〜。やれやれ。


ところでこの「サヨナライツカ」はたくさんの女性に貸してきた本です。これを読んだ感想が人それぞれで面白いのです。あたかもその感想は、その人自身の恋愛経験を物語っているようで。この子は真っ直ぐな恋愛だけをしてきたんだな〜とか、あぁこの人は色々な形の恋愛をしてきたんだな〜とか、こっそり想像してしまう(ごめんね)。
今回は初めて男性にプレゼントしました。恋愛モノだから、今までは男の人には貸した事もなかったんだけど。この小説の舞台となる場所でこれから活躍する人なので、ちょっと読んでみてほしくて。初のオトコ感想、楽しみです。

サヨナライツカ (幻冬舎文庫)

サヨナライツカ (幻冬舎文庫)