生きること=いつか死ぬこと。

大往生したけりゃ医療とかかわるな (幻冬舎新書)

大往生したけりゃ医療とかかわるな (幻冬舎新書)

ときどき、延命がどーのこーのということを書いているのだけど、この本! この本に私の言いたいことがすべてまとめられていましたー!(^-^)
ここに書いてあることを日本人全員が実践したら、高齢化や介護の問題ってイッキに片付く気がするんだけど、たぶんそうはならない。そんなことしたら、病院や製薬会社が潰れるから。そして、そうならないように、私も含めて日本人はみんな洗脳されてるから。まあ陰謀論は今日のテーマではないので、脇に置いといて。

生きること=いつか死ぬこと なので、死ってそんなに「まがまがしいもの」であるわけがないですよね。もしそうだとしたら、生まれた瞬間から「死」に向かって生きている私たちの人生、お先真っ暗じゃないですか。そんなわけがない。この世での人生を終えるってことは「やぁやぁ、おつかれさまでした」みたいなもんだと思っています。私はね。

色々書いてあるので気になる人は読んでもらえばいいですが、どうやったら "マトモな死に方" ができるかっていう本です。「年をとって、身体に少しずつ悪いところが出てきて(=老いる)、調子悪いな〜と思っているうちにだんだん身体の機能が衰えていって、口からものを食べられなくなって死ぬ。」それが本来の人間の死に方のはずなのに、今の日本ではそれってほとんど不可能ですよね。マトモに生きて、マトモに死ぬということは、とても大切なことだと思うのですが。ちなみに私はこの本を父にあげようと思って買ったのですが、夫にびっくりされてしまいました。無理もないか。。でも父と私の間では常に「お父さんがいなくなったあとは、あれと、これをしないといけない」とか「葬式はああでこうで」とかフツーに話しているので、こんな本も気兼ねなく渡せます。ちょっと読んでみてよ、って。

たとえば年老いた親が倒れた時などに「親孝行なにもできなかった…せめて1週間でも1ヶ月でも生きて欲しい」とかいって延命を望むのは、それこそ親不孝以外のナニモノでもないと思います。親孝行は、親が老いる前にしておくべきものです。「せめて1ヶ月」とかいって栄養チューブや胃ろうを使ってみたら、植物状態で10年も生きちゃった…とか。それって、幸せとはいえないですよね。

どんな姿でもいいから生きていてほしいと胃瘻を選択する場合もあります。しかし、この場合、そう決断した人が自分でずっと世話し続けるならともかく、施設に預けたうえでというのはあまりに身勝手、虫がよすぎる気がしてなりません。無理やり生かされている方も、気の毒の極みという外はありません。

残される人間が、自分たちの辛さ軽減のため、あるいは自己満足のために死にゆく人間に余計な負担を強い、無用な苦痛を味わわせてはなりません。医療をそんなふうに利用してはいかんのです。


死ぬっていうのはとても大事なことだと思うんです。もっとみんなが前向きに考えられるようになればいいなと思います。というわけで、おすすめの一冊の紹介でした。